スタッフブログ

遺言について少々6

一般の方が,遺言という言葉からまず想起なさるのは自筆証書遺言でしょう。自分で遺言書を書く方式の遺言です。ただ,遺言は被相続人の最終意思を示すものですので,その内容は明確でなければならず,遺言書における言葉遣いには注意を要します。従って,もし自筆証書遺言で遺言を残す場合には,弁護士に御自身のお考えを伝え,文案を作成してもらうのが安心でしょう。

一方で公正証書遺言という方式の遺言もあります。公証人の方が作成に関わって下さるので,言葉遣いの面では安心感があります。とはいえ,公証人の方は,あくまでも遺言書の作成手続をして下さるお立場であり,どういう内容の遺言をすればよいのか等について相談に乗るお立場ではありませんので,その様な御相談が必要な場合には,まず弁護士に御相談をなさり,遺言書の下案を練り,その上で公証人の方へ遺言書作成を御依頼するのが通常です。

遺言に関する御相談の必要がありましたら,お気軽に当事務所に御連絡下さい。 長澤

遺言について少々5

遺言には,「付言」というものを書くことができます。それにより直接に法的な効果が生じる訳ではありませんが,被相続人から相続人に対し想いを伝える手段として活用できます。遺言の本文で記した遺産の分け方について,この様な想いからその様な分け方をしたといったことを書くこともできます。そこに記された被相続人の想いを知れば,相続人の方々は,多少の不満は残るにせよ,相続問題は解決済とし,平常の生活をスタートする気持ちになれる場合も多いのではないでしょうか。相続を巡る,家族,親族の揉め事を予防するために,「付言」は意外と大きな効果を有するのではないかと思います。

一例を記します。実際の取り扱い事案そのものは書けませんので,それをモチーフにしたものを記します。ある男性が死期を悟り,遺言を残すことにしました。男性には奥さんとお子さん1人がいましたが,お二人の関係性はよくありませんでした。男性の財産としては御自宅と預貯金がありました。男性としては,御自宅のお庭に強い想い入れがあり,御自宅はぜひとも奥さんに残したいと考えました。奥さんと一緒に造園し,大事に手入れしてきた大切なお庭でした。男性は,遺言の本文において,御自宅は奥さんに相続させることを記すとともに,遺言の中の「付言」に,そのお庭への想いを丁寧に書き記しました。この様な遺言が残された場合には,相続人としても,被相続人の想いに素直に従おうというお気持ちになるのではないでしょうか。(続く) 長澤

遺言について少々4

前2回で述べた事例において,もし,Aさんが遺言を残しておいたらどうなったでしょうか。ここでは,Aさんは,Bさんに土地・建物を,Cさんに預金を相続させるという遺言を残したとします。土地・家屋の価値は2000万円だったとしましょう。預金の額は前回の例通りに1000万円だったとします。この場合,遺言通り,土地・家屋はBさんが相続します。預金はCさんが相続します。土地・建物についての相続登記,金融機関に対する預金払戻等の手続は,基本的に,前者はBさん,後者はCさんが,単独でできます。それで相続手続は終わりです。愉快ではない話し合い等をする必要はありません。速やかに相続問題が片付きます。
なお,この例だと,Cさんがかわいそうだと思う方もいるかもしれません。確かに,金額だけを見るとその通りですね。ただ,もともと,Aさんの遺産はAさん自身の財産だった訳ですので,Aさんの最終意思によって分け方が定まることは不当とは言えません(ただし,遺言で定められた遺産の分け方があまりに偏ったものであった場合には,それに不満のある相続人は,遺留分侵害額の請求という手続をとることができます。)。(続く) 長澤

遺言について少々3

前回記した事例において,Bさんは土地・家屋を相続したい,Cさんは預金を相続したいと考えた場合,一見,問題は生じないように思えます。確かに,土地・家屋の価格と預金の額が釣り合っていると,Bさん,Cさんとも納得しているならば,Bさんは土地・家屋を相続,Cさんは預金を相続ということで丸く収まりそうですね。けれども,Bさん,Cさんのどちらかが,土地・家屋の価格と預金の額が釣り合っていないと考えた場合はどうでしょうか。例えば,預金の額が1000万円だったとします。この状況で,Bさんは土地・家屋の価値は1000万円と考えている,Cさんは2000万円と考えているといった場合,Cさんとしては,清算のため,BさんからCさんへ500万円を払ってもらいたいと考えるでしょう(このような清算の趣旨で授受される金銭を「代償金」といいます。)。この場合,代償金をやり取りする必要があるのかないのか,あるいはいくらやり取りするのが適切なのかを巡って,BさんとCさんで揉め事が生じてしまいます。(続く) 長澤

遺言について少々2

うちの家族,親族は仲が良いので,相続などで揉めないよと思う方も多いかもしれません。ただ,本当に揉める危険性がないのか,家族,親族に揉め事の種を残してしまうことになってしまわないのかについては一考の必要があるのではないでしょうか。分かりやすく,親子の相続の例でお話します。Aさんが遺言を残すべきか考えているものとします。Aさんのつれあいは既に他界しているものとし,Aさんには,Bさん,Cさんという2名の子がいるものとします。また,Aさんの財産としては,Aさんが住んでいる土地・家屋と,預金があったとします。かなり単純な事例ですよね。この様な単純な事例でも,遺言が残されていない場合,揉め事が生じる危険性はあります。例えば,Bさん,Cさんとも,土地・家屋を相続したいと考えた場合,どちらがそれを相続するかで揉め事が生じることは容易に想像できるでしょう。なら,二人の共有にすればいいと思う方もいるかも知れませんが,共有という状態は,将来,その土地・家屋を売るにしても,貸すにしても,あるいはどちらかが住むにしても,逐一,Bさん,Cさんの二人で話し合わなければならない状態ということですので,結局,揉め事を先送りにしているだけなのです。相続という機会が生じた以上,そのときにすっきりと解決をしてしまうことが合理的です。(続く) 長澤

遺言について少々1

「遺言」という文字は,通常「ゆいごん」と読みますよね。ただ,法律関係の仕事をしている人達は,少なくとも仕事の上では,これを「いごん」と読みます。いわば慣習な訳ですが,由来は知りません。あしからず。。。ひとまず,「遺言」のことを「いごん」と読む人がいたら,そっち(法律)方面の人かもという判断はできますね。
それはさておき,以下,遺言についてのお話を少々。終活といった言葉を聞くようになって暫く立った今,遺言に対する心情的な抵抗は,以前よりは少なくなったのかなと思います。ただ,やはり,縁起でもない等感じる方もまだまだ多いでしょう。しかし,遺言を残しておくことは,相続が発生したときの紛争の予防に役立ちます。自身が亡くなった後,親族間で揉め事が生じてしまうことは,望ましいことではないはずです。その様な事態を避けるため,遺言を残しておくことは十分に検討に値するでしょう。(続く) 長澤

無罪判決獲得のお知らせ

当事務所の伊藤武洋弁護士が弁護人として対応していた裁判員裁判による刑事事件において、無罪判決(一部)を獲得しました。同事件は、傷害致死罪及び死体遺棄罪の二罪について起訴されておりましたが、重い犯罪である傷害致死罪について責任能力無しという主張が認められ、一部無罪判決を得たものです。我が国の刑事裁判では、無罪率は0.1%以下と言われており、一部でも無罪の判決を得ることは熟練した刑事弁護技術無しには不可能ともいえるものです。特に裁判員による裁判においては、通常裁判と比較して、丁寧な立証が要求されるため、弁護士の裁判員裁判の経験が重要になってきます。
当事務所では、今後とも、経験豊富な刑事弁護のエキスパートにより、不当な刑事処分を受けることのないよう刑事弁護業務に取り組んでいきます。

ご挨拶

弁護士の赤坂舞です。

私が入所してから約1か月が経ちました。

私は、司法修習中に横浜で犯罪被害者支援活動をされている先生方にお会いし、横浜で犯罪被害者支援活動をしたいと思い、横浜で弁護士になることを決めました。

皆様に信頼していただけるよう日々研鑽を積んで参る所存です。今後とも、宜しくお願い申し上げます。

 

年末のご挨拶

弁護士黒木勉です。

早いもので、今年の御用納めの時期となってしまいました。

当事務所も2011年の開所(東日本大震災の年でした)から、5年目の年を無事に終えることができました。

5年という一区切りの年を終え、来年からは新たに1名の弁護士を迎え、弁護士5名体制で執務に当たります。

このように当事務所が順調に発展できたのも、これまでに当事務所へご依頼いただきました依頼者、クライアントの皆様はじめ、当事務所とお付き合いいただいている皆様のおかげです。改めて感謝申し上げます。

来年以降も、より一層充実したサービスを提供できるよう努力していく所存です。

これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

法科大学院模擬裁判

早いもので平成26年も既に12月です。

少し前のお話になってしまいますが,神奈川大学法科大学院の法廷教室をお借りして開催されました神奈川県内法科大学院合同模擬裁判に講師として参加してきました。

http://lawschool.kanagawa-u.ac.jp/news/index.php?c=topics_view&pk=1412924770

法科大学院生が刑事記録を題材に,検察官,弁護人,裁判官役に別れて訴訟活動を行い,弁護士が適宜講評をするというものです。裁判官役及び検察官役の指導弁護士は,それぞれ裁判官及び検察官出身の弁護士ですので,法科大学院生には,なかなか得難い機会ではなかったかと自負しています。

とはいえ,大学院生の皆さんは実務に出る前にまずは司法試験を通過しなければなりません。陰ながら参加された法科大学院生の皆さんの合格をお祈りします。

伊藤

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