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相続の対象(相続人が引き継ぐもの)について

人が亡くなると、相続人は、「被相続人の財産に属した一切の権利義務」を引き継ぎます。

「義務」という言葉が入っていることがポイントです。具体的にいいますと、被相続人の所有していた不動産や預貯金といった財産(プラスの財産)はもちろん、借金や保証債務のような債務(マイナスの財産)も相続されます。

多額の借金があって、プラスの財産が少ない場合には、相続人は相続を放棄(プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しないようにすること)する、あるいは限定承認(相続で得られるプラスの財産の限度でのみ被相続人の債務を相続する)を行うこともできますので、これらの手続をとることをお勧めします。

相続手続の進め方について

相続の手続を具体的に進めていくには、遺産分割協議が必要になります。

遺産分割協議で相続人全員が合意すれば、遺産分割協議書というものを作成し、これに従って遺産が分割されることになります。

遺産分割協議で合意ができない場合には、家庭裁判所での調停を行うことになります。

遺産分割の調停は、簡単にいうと裁判所での話し合いの手続です。ここで話がまとまれば、調停調書というものが作成され、これに従って遺産が分割されることになります。

調停でも話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所での審判という手続になります。審判では、最終的には裁判官の判断によって遺産分割が行われることになります。

遺産分割協議の実際

遺産分割はどのように行うものなのか、なかなか理解しにくいものです。ここでは、具体的な事例をあげて、どのように遺産を分けていくものなのか、説明してみます。


被相続人Aには相続人として妻Bと子Cが、遺産として①生前AがBと同居して生活してきたマンション(時価2,000万円相当)と②預貯金2,000万円があり、現在Bは①のマンションで、Cは既に独立して他所で生活しているものとします。

遺言が存在しない場合には、マンションも預貯金もB、Cにそれぞれ2分の1の割合で相続することが考えられます。こうすると、マンションは2分ずつの共有とし、預貯金を1,000万円ずつ相続することになります。

しかしながら、現在、Bは①のマンションに居住しているのですから、マンションがBCの共有となることはその使用実態に即しません。Cとしても、自身は既に他所で生活していますから、マンションを共有する必要はないでしょう。

この事例の場合には、遺産を形式的に法定相続分どおりに分割するのではなく、マンション全部をBに、預貯金全部をCにそれぞれ相続させることの方が相続人全員にとって望ましいでしょう。

このように、亡くなったことによって相続人が共有している状態にある遺産を、相続人間で分配することが遺産分割です。そのための話し合いを遺産分割協議といいます。

なお、遺産分割は、相続人全員の間で合意ができれば、どのように分割することも自由です(必ずしも法定相続分に従う必要はありません。)。

これは一例です。遺産分割については、個々の事件において、色々な形があり得ます。

相続人の間の話し合いで解決ができない場合には、先ほどもご説明した家庭裁判所での調停や審判という手続を申し立てることになります。


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