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遺言について少々5

遺言には,「付言」というものを書くことができます。それにより直接に法的な効果が生じる訳ではありませんが,被相続人から相続人に対し想いを伝える手段として活用できます。遺言の本文で記した遺産の分け方について,この様な想いからその様な分け方をしたといったことを書くこともできます。そこに記された被相続人の想いを知れば,相続人の方々は,多少の不満は残るにせよ,相続問題は解決済とし,平常の生活をスタートする気持ちになれる場合も多いのではないでしょうか。相続を巡る,家族,親族の揉め事を予防するために,「付言」は意外と大きな効果を有するのではないかと思います。

一例を記します。実際の取り扱い事案そのものは書けませんので,それをモチーフにしたものを記します。ある男性が死期を悟り,遺言を残すことにしました。男性には奥さんとお子さん1人がいましたが,お二人の関係性はよくありませんでした。男性の財産としては御自宅と預貯金がありました。男性としては,御自宅のお庭に強い想い入れがあり,御自宅はぜひとも奥さんに残したいと考えました。奥さんと一緒に造園し,大事に手入れしてきた大切なお庭でした。男性は,遺言の本文において,御自宅は奥さんに相続させることを記すとともに,遺言の中の「付言」に,そのお庭への想いを丁寧に書き記しました。この様な遺言が残された場合には,相続人としても,被相続人の想いに素直に従おうというお気持ちになるのではないでしょうか。(続く) 長澤


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