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過払い金・利息制限法引き直し計算について

「過払い金」という言葉は、今このサイトを見ている多くの方が聞いたことがあると思います。わかったようで、よくわからない「過払い金」や利息制限法、引き直し計算の仕組みについて、ご説明します。

なぜ過払い金がでるの?

この説明は、かなり長くなりますが、ご興味のある方はお付き合い下さい。

ダブル・スタンダードからくるグレーゾーンの問題

お金の貸し借りを制限する法律として、利息制限法という法律があります。利息制限法によると、10万円未満の場合は20%、100万円未満の場合は18%、100万円以上の場合には15%という上限利率が定められています。利息制限法上は、上限利率を超える利率の契約(約束)をしても、それは無効です。

しかし、現実には、つい最近まで、多くの貸金業者は利息制限法の上限利率を超える利率で貸付を行っていました。

これには、いくつかの理由がありました。

せっかく、利息制限法で、上限利率を規制していたのですが、利息制限法の例外を設けていた法律がありました。それが、いわゆる貸金業法(改正前は貸金業の規制等に関する法律といいました)という法律です。貸金業法は、最近では平成19年6月に改正(その後、平成22年6月18日に完全施行)されましたが、改正前の法律に、ある問題が存在していました。

その問題とは、「みなし弁済」というものです。これは、簡単に言うと、一定の厳格な要件を満たした債務者が任意に支払った利息であれば、利息制限法を超える利率を超えていても有効な利息の返済とみなすというものでした。利息制限法という法律での規制について、例外を設けていたのです。もっとも、貸金業法でも、利率はいくらでもいいとしていたわけではありません。貸金業法上の上限利率は29.2%とされていました(ただし、過去には54.745%、40.004%といったさらに高い利率が規定されていた時代もあります。)。

そして、もう一つの問題がありました。それは、罰則の問題です。

利息制限法には、上限利率を超える利率の貸付を行っても罰則はありません。利率に関しての罰則は、出資法という別の法律に規定されています。そして、出資法で罰則の対象となるのは、先にも述べた29.2%という利率だったのです。

これが、いわゆるグレーゾーン金利と言われる問題の所在なのです。つまり、15%~20%の利息制限法の利率と貸金業法の29.2%という利率の間の利率の場合、罰則はありませんし、民事的には一定の要件を備えていれば有効になるときもあるし、無効になるかもしれないというグレーな領域だったのです。

引き直し計算

ここまでご説明してきたように、貸金の利率にはグレーゾーンの問題がありました。

ただ、なぜ過払い金が生じるのか、疑問が生じた方もいらっしゃると思います。貸金業法の要件を満たしていれば、利息の支払いも有効になるのだから、過払いにはならないのではないかと思う方もいらっしゃると思います。

この疑問は、疑問としては正しいものです。しかし、現実は異なります。端的に言うと、貸金業法のみなし弁済の要件はとても厳しく、ほんの一部の例外を除いては、みなし弁済が認められることはほとんどありませんでした。裁判所も、みなし弁済の適用については、かなり厳格に解釈する傾向があり、貸金業者の主張は容易には認めてこなかったのです。

その極めつきが平成18年の最高裁判決でした。最高裁は、期限の利益喪失約款がある場合には、任意な弁済とは言えないから、みなし弁済は認めないという判断をしたのです。期限の利益喪失約款というのは聞き慣れない方も多いと思います。どういうものかというと、分割払いの期日までに支払わないと一括で払ってもらわなければいけなくなりますよ、という約束です。貸金業者の契約書に、この期限の利益喪失約款がないことはありません。

この最高裁判決によって、みなし弁済が認められることは事実上なくなりました。

貸金業法のみなし弁済が認められないと、法律上の利率の上限は利息制限法が適用されることになります。

ところが、現実に相談者、依頼者の方が把握している借金の額は、契約上の利率(多くの場合は利息制限法の上限利率を超える利率)で計算された残債務の額です。したがって、債務整理を行う場合、本当の債務の額を調査するため、払いすぎになっていないか調査するため、まず貸金業者から取引履歴を取り寄せ、それを一つ一つ本来の利息での引き直し計算をしていくのです。

過払い金発生

契約上は、利息制限法を超える利率で契約して、借入や返済をしてきていても、本当の利率は利息制限法の上限利率になるため、引き直し計算を行った結果、払いすぎの状態(過払い)が生じる場合があるのです。

言葉で説明してもわかりにくいので、例を出してみます。

例えば、利率を25%として、1年後に全額返す約束で50万円を借りた人がいるとします。1年後に返すときに、25%の利息を支払うことになりますから、利息を加えて62万5,000円を返済することになります。ところが、利息制限法の上限利率、本来有効な利率は18%ですので、本当の利息は9万円なのです。結果としては3万5,000円の払いすぎになっています。

現実の取引は、こんなに簡単に計算できるものではありません。貸金業者からお金を借りている人は、何十回、何百回と借入・返済を繰り返している方がほとんどです。何十回、何百回の取引を一つずつ利息制限法に基づいて再計算しなければならいのです。

このような計算をすると、取引期間が長い人は(早い場合は5年程度で)、実は借金はなく払いすぎになっている場合が出てくるのです。これまでの依頼者の方では、1社だけで500万円を超えるような過払いだった方もいますし、200万円~300万円の過払いだった方は数え切れないくらいいます。事件が終了した段階で、1,000万円近いお金をお渡しできたケースも何件もありました。

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